西シベリアは広大な地で、タイガ(針葉樹林)の蒼さが延々と限りなく続き、車で一日中走行しても人に会うことがないほどの広さです。冬になれば摂氏マイナス50度を超える極寒地です。チュメン、タボルスクなどの都市郊外には、かつて強制労働収容所が建てられ、数えられないほど多数の政治犯(大多数はクリスチャン)が送られました。そこはノーベル文学賞受賞者アレクサンドル・ソルジェニ―ツインの、「収容所群島」の舞台となった悲劇の地です。キリスト教会やクリスチャンが1人もいなかった不毛の地に、今神を信じるか聖徒たちがいます。そしてロシアのクリスチャンたちは、今シベリア伝道に祈りと力を注いでいます。次はタボルスク・バプテスト教会のゲオルギー伝道師からの宣教レポートです。
私は、タボルスクから約70キロメートル離れた小村イエーランで生まれました。この辺り一帯は、タイガで人が住む村もありません。近くにあるのは、廃虚となった収容所バラックだけで、もちろん小学校もありません。すこし離れた所にバイカロボ村があり、そこには近隣の子どもたちが学べる寄宿舎制小学校があります。私は何としてもこのバイカロボ村にある小学校を、1月6日のクリスマス前に訪問し、村初めての「クリスマス集会」を開きたく準備に入りました。ロシア(ロシア正教会)では、クリスマス日は1月7日となっています。村民たちは子どもと、初めてクリスマス・ストーリーを聞くことになります。
都市ではこのような集会を企画しても人が集まりませんが、村は違います。特別な催物がない村では、村中の大人と子どもが集まりました。この地方のクリスマス・新年の伝統習慣では、子どもたちは顔に灰を塗り、家から家を訪ねて、イコン(聖画)以外の贈物を受け取ることになっています。そこで、私たちは子どもたちへの贈物を持参し学校に行きました。村民にとっては、福音を聞くことは初めてでした。ところがタボルスク教会からの贈物は、子ども人数25人に対し24人分しか準備していませんでした。しかしその一人分を後日届けることで、子どもは納得してくれ、彼らは心を開いてクリスマス・ストーリーを聞いてくれました。
1月13日、私たちは不足した贈物をバイカロボ村に届けたところ、みんな集まってくれました。そこでもう一度「クリスマス集会」を開催することができ、神を賛美しました。このことをタボルスク教会青年会に報告したところ、彼らは「できるならば、今にでも現地に行き、彼らにイエス・キリストの誕生を知らせようではないか」、と言う喜びの声が上がりました。
毎年3月10日、西シベリアでは青年大会が開催されます。昨年はモルドバから、青年伝道者を招き、霊的に祝福された大会を持つことができました。多くの青年たちがその時、イエス・キリストを信じ回心しました。そこで今年も迎えたいと願いましたが、迎える旅費がないのが実状でした。しかし、主は祈りに答えてくださり必要を満たしてくださいました。青年大会は教会にとっても、未来を担う青年たちの集会ですから大切です。また青年たちにとっても、広大なシベリアでイエスへの信仰を持つ者は、自分たちだけではないことを知り励ましとなります。シベリア各地ではこの10年間、多くの青年たちがイエス・キリストを救い主と信じ、喜びの信仰に入っています。タボルスク・バプテスト教会では、2017年に7人の受洗者がありました。その内5人が青年で、彼らは教会の交わりの群に加わりました。
アレキシー・ボググダノフ伝道師は、シベリアではキリストの福音を一度も聞いたことのない人々の村が各地にある、と言います。彼らは今、自分たちにどんな伝道の可能性があるのか、そして自分たちは何ができるかを真剣に取り組んでいます。シベリアの教会は小さいですが、畑は色づき収穫の時です。キリストの福音宣教はチームプレイです。もし私たちが彼らの不足の一部を補うことができれば、それはなんという幸いではないでしょうか。「今あなたがたの余裕が彼らの欠乏を補うなら、彼らの余裕もまた、あなたがたの欠乏を補うことになるのです。こうして、平等になるのです。」( 2コリント8・14)
つづく
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