ウクライナのセルゲー伝道師は東ウクライナへ2週間の予定で伝道に出かけましたが、コロナ禍により滞在を延長せざるを得なくなりました。次は彼からの宣教レポートです。

種が蒔かれなければ収穫はない

　今年3月14日、私たちが住んでいる町から約800km離れたウクライナ東部のイロワスキーへ伝道に向かいました。当初２週間の滞在予定が、3ヶ月にもなりました。この地方はウクライナの僻地と呼ばれ、キリストの福音未伝地帯です。丁度、コロナ・パンデミックが始まった頃で、住民たちは制限下で行動が強いられました。そこで私たちは彼らの側に寄り添い、いろいろな世話をし、また福音を語り祈ることもできました。それは「ことばと行い」で語る伝道生活でした。私たちは住民たちが秋に収穫を得ることができるように、種子を持参していきました。種が蒔かれなければ、収穫はありません。収穫がなければ、空腹と飢餓で苦しむことになります。同じく、みことばの種も蒔かれなければ発芽と収穫は期待できません。それが私たちの伝道目標でありました。

　神はみことばの種を祝福し収穫を与えてくださいました。私たちの働きは、みことばの種を蒔くことです。毎年、蒔かれた種から通信講座「エマオ信仰入門コース」に参加する方々が起こされています。コースを終えた人々には卒業式があり、そこに知人・友人を招待しています。前回は、興味を示した20人に新訳聖書、50人に旧新約聖書を贈呈しました。これは西側のクリスチャンから贈られた聖書です。神は私たちの祈りにお答えくださり感謝しています。

シニャコフ家族

　一例としてシニャコフ家族を紹介しましょう。しばらく前、西側のクリスチャンからシニャコフ家族に搾乳機が贈られました。その少し前に、彼らの長女ナージャが私たちの子どもバイブル・キャンプに参加し救われました。その後、母親が福音に関心を示しました。家族は大変貧しい状態でしたので、私たちは4匹のヤギを贈りました。その後さらに2匹が加わり、今では10匹のヤギを飼っています。ヤギの乳搾りは力のいる作業で大変です。ナージャは搾乳機を夢にまで見て、そして神に祈りました。この家族に搾乳機が与えられたことは、ナージャの祈りの答えでした。もうハードな仕事ではなくなり、たいへん助かっています。家族は非常に喜び感謝しました。ナージャは洗礼を受けたいと申し出てきました。父親アレキサンダーは昨年から集会に出るようになりました。彼は聖書を読み始めましたが、救いにはまだ至っていません。彼が救われることは私たちの願いですが、神がお救いくださる日を待ち望んでいます。

コロナ禍で

　その後、コロナ検疫が各地で行われるようになり、私たちは家庭訪問することが難しくなってきました。保健所からは、60歳以上の高齢者にはコロナが感染しないよう、特に注意勧告が出されました。体力的にも衰えが現れる年代で、もしコロナに感染すれば働けなくなり、たちまち食べ物にも困ります。コロナ感染症が拡大するにつれて、高齢者と弱者の間ではその不安も増してきました。そこで私は、困っている未亡人と年金生活者を重点的に訪ねることにしました。10人の未亡人に50袋の小麦粉、3トンの石炭と燃料を届けました。これらは生活必需品です。それに希望者に150箱の食料品と60箱の果物も渡すことができました。しかし、私たちが救援物資を渡すとき、必ず神のみ言葉も伝えることができ幸いでした。コロナ禍の間、キリスト教会は多くの支援活動を行いました。青年会の若者たちは、積極的に困っている人々に支援活動をしてくれました。コロナ禍の最中に、年配者や弱者たちには物質的必要がありました。それに加えて、精神的必要も大多数の人々がかかえていました。そこで私たちは、物心両面で出来る限りのサポートをし、神のみことばを語り伝えることができました。

　

セルゲー伝道師のために

　コロナ・ウイルスはウクライナにも入ってきました。セルゲー伝道師は丁度その頃、東ウクライナへ伝道に向かった時期で、それは神のご摂理の中でした。いわゆるキリスト教（ウクライナ正教）文化の中で生活する大多数の住民は、生けるキリストの福音を耳にしたことはありません。数千年もキリスト教の歴史が続くと、教会は形骸化し形式化してしまいました。これはウクライナだけの問題ではなく、キリスト教の長い歴史を持つ国々では共通した課題です。そこで、キリストの福音が宣べ伝えられることは重要です。セルゲー伝道師は神から召され、今日も同胞たちにキリストの福音を宣べ伝えています。どうぞセルゲー伝道師を覚え、お祈りください。

　 （つづく）