人はだれでも人生において、試練を経験するものです。神様が私たちに与えられる課題で、最も難しい課題の一つは、「赦し」でしょう。キリストが私たちを赦されたように、私たちも人を赦さなければならないと分かっていても、憎しみと赦しの狭間で揺語り始めました。
カン・ヨンジャの「証し」
そんな試練の中にあったころ、私は村の教会へ通い始めました。イエス様をまだ知らずにクリスチャンではない私でしたが、教会の執事たちは、ベビーカーや赤ちゃん用品をたくさん与えてくれました。私は神様に心から感謝をしました。けれども長年、偶像の洗脳の中で生きてきた私は、悪霊にすっかり心身ともに支配されていたのか、教会の中に入ると必ず酷い頭痛に悩まされ、体調を崩していました。しかし、癒し主である神様は、ある日、私の身体から大量の痰のような汚物を吐き出させました。それによって痛みがすっかり消え、身体中が洗い流されたように身体も軽く感じ、まるで私の身体の中にいた全ての悪霊が出て行ったかのような不思議な体験でした。
それから元気になった私は、教会も休むことなく通いました が、それでもまだ、イエス様を天のお父様であるということが理解できませんでした。そんな時、中国公安がこの地域にやって来て、脱北者を逮捕するため探し回っていると聞きました。私はもう一人の脱北者の姉妹と、発見されないように必死に祈り求めました。感謝なことに、公安たちは私たちを見つけることなく通り過ぎて行きました。
この出来事をきっかけに、私は神に非常に感謝しイエス様を受け入れる決心をしました。しかし、またしても私の身に試練がやって来ました。1歳になった娘が肺炎にかかり、医師からは娘の生命はあと15日ぐらいだと宣告されました。娘の余命宣告を受けた帰り道、弱り切った幼い娘を背負いながら着いた先は教会でした。私は、教 会の十字架の下で、娘をその場に置いて泣き崩れました。「神様、なぜ、あなたは、私に辛いことばかりお与えになるのですか?この子を取り去り、その痛みだけを私に与えるのだったら、むしろ子どもなんて、はじめから欲しくなかった。この子がいなかったら、こんな痛みもないはずなのに。」と神様に泣き叫びました。
すると私は、信じ難い光景を目にしました。さっきまで弱り切って、ぐったりしていた娘が「ママ…」と私に呼びかけ、立ち上がり歩き始めたのでした。私はびっくりし、病院に連れて行くと、娘の肺炎は完全に癒されたことが判明しました。この奇跡を見た医師もイエス様を受け入れました。娘は、新しく生まれ変わったように元気になり、私は彼女に「神の恵み」という意味で ハウンと改めて名付けました。
結局、私は、中国公安の目を掻い潜るようにハウンを連れて、買い取られた漢民族の家からようやく出て、その土地を離れました。私は、北朝鮮と中国の国境に跨る白頭山のガイドの仕事で生計を立てながら、一人でハウンを育てました。一人で子育てするのは大変でしたが、私の心には神様の子どもとされた喜びに満たされ、痛みを通して神様をより知ることができ、苦難の中でも祝福の人生を探す日々を送っていました。ところが、そんな時、私は子宮癌になってしまいました。
まだ幼いハウンを一人残して、死ぬに死ねないと思った私は、とにかく彼女のために病気を治そうと、それには韓国へ行った方が良いと言われ、2007年夏 、私は、ハウンを孤児院に預け、1週間後に必ず迎えに来ると彼女に言い残し、治療のため一人韓国へ向けて出発しました。ところが、その3日後、私は、モンゴル国境で逮捕されてしまいました。(氏名はすべて仮名です)
(つづく)
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