退去期限まであと10日に迫った2019年3月20日、役員から電話がありました。知り合いの牧師夫妻に日本語教会の窮状を話したところ、喜んでお貸ししたいと話しているとのことでした。そこは、フランクフルト市の最北部にある自由教会でした。早速牧師夫妻に正式にお願いしたところ快諾され、契約書は交わしていないにもかかわらず、4月の最初の日曜日から礼拝のために使用できることになりました。すると不思議なことに、いくつかの教会からも日本語教会に貸してもよいという話が届きました。中には、市の中心部という立地条件の良い場所もありましたが、神がまず開いてくださった門を入ることとし、最初に手を差し伸べてくださった教会を借りることにしました。
しかし5月初めに、日本人が多く住む地区から遠くない場所にある国教会を使用できるかもしれないとの紹介がありました。立地条件、交通の便、設備などについては国教会に利があります。また、最初に訪ねた時、国教会の牧師はすでに長老会に諮って、日本語教会が使用したければ貸すことについての承認を得ていると聞き驚きました。しかし、すでに使用させてもらっている自由教会との契約も控えています。嬉しい悩みです。私たちは、先に手を差し伸べてくださった自由教会と契約を結ぶことにしました。その際、日本語教会のミッションについて伝え、ミッション遂行のためによりふさわしい場所が見つかった場合には移動する可能性があることも伝えました。自由教会側は私たちの事情を理解してくださいました。このようにして、私たちは4月から11月末までの8か月を市内北部の自由教会で礼拝し、12月1日からは日本人が住む地区から遠くないNiederursel(ニーダーウルゼル)地区にある国教会を借りて、礼拝や祈祷会を行うことになりました。ですから、2019年は礼拝を三箇所で持つ年となりました。
第36回ヨーロッパキリスト者の集い
(2019年)
一方で礼拝場所を探し求めながら、フランクフルト日本語福音キリスト教会は2019年7月に「第36回ヨーロッパキリスト者の集い」を、ルーマニアのクルージュ・ナポカ市で、長い間この地のルーマニア人の教会で奉仕してこられた川井勝太郎先生夫妻たちとともに開催しました。準備は2017年から始められました。主催者同士が離れた場所にいるという環境でしたが、インターネットを用いて何度も実行委員会が重ねられ準備が進みました。東欧で開催される初めての「キリスト者の集い」。折りしも2019年は東欧解放30年の記念の年でしたので。「解放された者として生きる―東欧解放30周年に、ルーマニアで―」というテーマで行いました。今回の集いには、共産党独裁下で迫害されていた人々、関わりのある人々に証言していただいたり、開催期間中に日本人キリスト者による美術作品の展示も別会場であったりと、ユニークなものでした。フランクフルト日本語福音キリスト教会も、ほぼ全員が準備に携わり、多くが大会にも参加し、主に仕えることができました。小さな群が主のために用いられるという幸いな経験をさせていただきました。
コロナ禍にあって(2020年)
そして2020年。年当初から新型コロナウィルスの感染拡大という脅威の中、世界中のキリストの教会が通されている特異な道を、私たちも通って今に至っています。新しい場所で礼拝をするようになり、どのようにして日本語教会に日本人の方々をお招きするかということを始めようとしていた矢先の3月18日から、フランクフルト市が属するドイツヘッセン州では、ロック・ダウンが始まり、3月22日(日)からは、一緒に集まっての礼拝ができなくなりました。そのために急きょ、オンラインによる礼拝のライブ配信をスタートしました。
一方で、小さな群である教会に重い病と闘う方々が同時に3人おられるなどということも起こりました。また、緊張の続く生活の中で孤独を味わったり、体調を壊す人々もあります。けれども、主のみわざは妨げられません。信仰を持つ人、主のために立ち上がろうとしている人も教会に与えられています。フランクフルト日本語福音キリスト教会の歩みを、中村眷二兄、矢吹博とリレーで綴ってきましたが、これで終りではありません。教会のかしらなるイエス・キリストがこれから先どのようなみわざを為してくださるのかを期待しつつ、ひとまず筆を置くことにいたします。(完)
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