私が牧会するホノルル・キリスト教会は、1932年創立の日本語部と英語部からなるユニークな教会です。ここに赴任して15年が過ぎたところです。オアフ島の人口は約100万人弱、その中で私たちが宣教にフォーカスしている日本語理解者は、3万~5万人と言われています。この数字の開きは、ハワイ独特なものかもしれません。内訳は、国際結婚、仕事、学生に加えて、日本から一年の半分をハワイで過ごすという長期滞在者がいます。またハワイという地に住むこと自体を目的にしている方が多いというのも特徴かもしれません。
ハワイには、ハワイ日本語キリスト教会連合があり、月に一度のミーティングを持ちながら、ラジオ伝道をはじめとした宣教協力と良き交わりを持っています。ホノルルを中心に車で20分圏内に、約13の日本語教会、ミニストリーがあります。オアフ島全体では、20弱になります。マウイ島にも一つ日本語教会があります。ホノルル教会では、コロナパンデミックの影響により3月22日から会堂礼拝を閉鎖し、オンライン礼拝を始めました。7月12日から会堂礼拝を再開しましたが、8月中旬の時点で、感染者の増加に伴う当局の指示に従って会堂礼拝は再閉鎖となりました。
「人の危機は、神の好機」
さて私は、今の状況を理解する上での基本的な考えとして「人の危機は、神の好機」と捉えています。確かに今の状況は、苦難であり、悩まされることが多々あります。危機であることは間違いないでしょう。教会の危機、礼拝の危機、交わりの危機…。ここに危機の内容を一つ一つ書き出してもいいのですが、恐らくその内容は、他の教会とさほど変わらないものだと思います。字数の制限もありますので、そこは割愛いたします。むしろ、この危機の中でこそ起こされた恵みの数々を証したいと思います。
*コンピューターに精通した方が、オンライン配信、ウェブ管理を一手に引き受けて大活躍しています。
*以前は、仕事が忙しくて礼拝に来られなかった方や奉仕に時間が取れな
かった方が、仕事が休みになった分、活き活きと奉仕に励んでいてくださいます。
*高齢者や、コンピューターを苦手としている方のために、何人もの方々がボランティアに名乗り上げてくださいました。
*教会の芝刈り、植物の剪定のために、週に何度もご奉仕してくださっているご夫婦がおられます。
*教会の財政は、ここ数か月は通常よりも多くの献金が捧げられています。
*生活困難者のために、現金給付の支援を行いました。そのためのファンドを設けたところ、驚くほどの献金が捧げられました。
*しばらくお休みしていた祈りのチームの活動が再開し、教会のパワールームが稼働し始めました。
*ZOOMによる祈祷会の参加者は、以前よりも二倍に増えています。
*礼拝のオンライン配信も、以前よりもアクセス数が二倍近く増えています。
*エクササイズ動画が作成されました。
*ホノルル教会版リモート賛美が作成されました。
*数人のメンバーが執筆する、日々のディボーションページもウェブに開設されました。
*オンラインによるサンデースクールは、とても好評です。
*何よりも、メンバー1人1人の、隣人に対する愛が増し加わって、愛することにおいて成長しています。
新しい皮袋
良い事だけを書いていますが、これらすべての事の背景には危機が存在します。その危機から生まれた神の働きです。まさに神の好機です。そして、私が今最も神の好機として捉えていることは、教会の在り方が変わる機会だということです。これまでの当たり前が当たり前ではなくなった今こそ、変われる機会です。しかし、ラインハルト・ニーバーの言葉を持ち出すまでもなく、変えてはならない事、変えるべき事の見極めがいよいよ重要になってくるでしょう。そのためには、私自身が、これまでの“当たり前”を主に捧げることが求められているのだと思います。なぜならこの好機は、私の好機ではなく、神の好機だからです。
現時点では、アフターコロナの対応や方策を考えるよりは、まず自分自身が「新しい皮袋」となれるようにと思っています。「また、人は新しいぶどう酒を古い皮袋に入れるようなことはしません。ぶどう酒が流れ出てしまい、皮袋もだめになってしまいます。新しいぶどう酒を新しい皮袋に入れれば、両方とも保ちます。」(マタイ9・17)
この時代、この状況の中で求められている教会のかたちとは、いかなるものでしょうか。教会は、キリストのからだであり、神の宮であり、神の家族であるという永遠普遍な真理を、どのようなかたちで証していくことが、神の好機と呼べるのでしょうか。主の御前に静まっていきたいと思います。 (つづく)
TEL:06-6226-1334 FAX:06-6226-1336
〒541-0041
大阪市中央区北浜2-3-10
VIP関西センター5F