シベリア・クラスノヤルスク州

黒田禎一郎

シベリアの面積は、ロシア連邦全土の約57%にあたる980万K㎡もあり、実に広大です。そのシベリアには、州、共和国、自治管区、地方など10の行政区があります。とにかくモスクワからウラジオストックまでシベリア鉄道で行けば、6日間も必要となり、長さは約9、300Kmもあります。この広大なシベリアは、まだキリストの福音未伝地帯が多くあります。

パウエル伝道師は昨冬、「全世界に出て行き、すべての造られた者に福音を宣べ伝えなさい。」(マルコ16:15)というみことばに従い、10人の宣教チームを編成しました。その旅はバイカル湖東部からクラスノヤルスク州に向かう長距離の旅で、次はその伝道レポートの一部です。

車両の前に立つ伝道チーム(一部)

側道に落ちたキャンピングカー

道のない道

備えられたヘリコプター

私たち伝道チームは10人で構成し、かなり以前から宣教準備をしました。目的はクラスノヤルスク州の29の町村の福音未伝地帯へ、聖書、トラクト、医薬品・食料品を届けキリストの福音を伝えることでした。出発日には気温がマイナス摂氏48度まで下がりましたが、それでも目的地に向かい走ることができたことは幸いでした。背後にある兄弟姉妹と教会が、私たちを祈り支えてくれたことは大きな力でした。私たちは極寒の道路を、日本製ジープ「TOYOTA」と大型キャンピングカーの2台で走りました。寝起きは全て車中でした。それに加えて、走行はほとんどが夕方から夜中でした。その理由は昼間にトラクト配布と、訪問に時間を費やしたからです。

シベリアで忘れられた44民族の一つであるケテン族の村に向かう途中で、車は深い雪のため走行不能となりました。私たちは神には不可能はない信じ、真剣な祈りを捧げると、神はヘリコプターを備えてくださいました。そこで私たちは予期しない手段でケテン族の村に行くことができました。現地ではすでに私たちを待っていました。彼らに新約聖書、トラクト、医薬品・食糧品を渡すと非常に感謝され、突然その日の夕方7時から集会を開くことになりました。神を知らない方々が参加してくださり、私たちはイエス・キリストの福音を語ることができました。私たちの喜びは大きなものとなりました。その日ケテン族の2人が、罪を告白しイエス・キリストを救い主と信じました。

ヘリコプターはその間に戻って行きました。そこで、私たちは車を置いてきた場所まで、スノーモービルで行くことになりました。気温は摂氏マイナス30度の中、約70Kmの速度で、80Km離れた地に無事に戻ることができ幸いでした。それは神からの特別な贈り物でした。

年老いた正教徒の隠者

次に私たちはサンダルという村に入ると、そこには年老いた正教徒たちがいました。彼らは1667年以来、ロシア正教会に属さない旧正教徒で、俗人とは交流をしないユニークな人たちです。男性は髭を剃らず、女性はロシアの旧民族衣装を身に着けています。彼らは17世紀までロシア正教会で有効であった教理と実践を現在も守り、忠実に生きる人たちです。彼らは超保守的で、子ども数が多い大家族で、年配者を敬う文化と習慣を保持しています。彼らは私たちが持参した食料品やトラクトの受け取りを拒否しました。彼らはアルコールを一切飲みませんし、タバコも吸いません。ですから依存症のような病気はありません。それは健康的な生活手段と言えましょう。

 ところが神はそのような方々のうちに、みわざを現してくださいました。子どもを多く持つ家庭の母親が、食料品を受け取り、そして聖書と子ども聖書も受け取ってくれました。私たちは彼女が先ず食糧品に手を置いたのではなく、聖書の上に手を置いたことに驚きました。彼女は喜びの笑顔で、「私は小さい頃から、『子ども聖書』を手にすることが夢でした。」と言いました。  別の村で、私たちは高齢者で盲人の家を訪ねました。彼女は私たちが差し出した食料品に手で触れて、不自由な目から大粒の涙を流しました。彼女は「神は天使を我が家に遣わして下さった。」と何度も言いました。多数の高齢者が「子ども聖書」に目を注ぎ、「これは私たちが長年夢に見た『子ども聖書』だ。」と言いました。そして私たちに心からの謝意の言葉を言ってくれました。それは聖書を届けた私たちにとって、大きな喜びとなりました。

地図にない村

私たちの宣教旅行で、時には地図上に存在しない村々があることを知りました。ソチノという名前の村もその一つで、そこは隠者が住んでいました。すなわち隠者である彼らは無視されていました。ですから、私たちはそのような村々で神のみことばやトラクトを配布できたことを大変嬉しく思いました。ソチノに入った時、正教徒司祭と婦人たちが歩いていたのに出会いました。彼らに聖書とトラクトを手渡すと受け取ってくれ、それを機に会話をすることができました。そして彼らがトラクトと聖書を読み、魂の救いに与るように祈りを捧げました。このように私たちの宣教旅行は続きました。神を知らない多数の人々がシベリアに住んでいます。私たちはこれからも、みことばに従順に従い、キリストの福音を届けたく願います。

(つづく)

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