ウクライナ共和国

黒田禎一郎

ロシアがウクライナに侵攻し約19ヶ月が経過しましたが、戦火で多数の方々が生きる闘いを強いられています。ここに、戦火から次のような近況が入りました。

神への信頼

ヘルソン州では、多くの人々が避難しているため、子どもたちはあまり残っていません。しかし、それでも30人ほどの子どもたちが集まります。これは極めて異例です。それに5、6人の母親も来てくれます。驚くべきことに、母親は礼拝後に教会に残り、教会学校教師のアンナ姉妹や子どもたちと遊び話し合ったりしています。アンナ姉妹は困難の中でも奉仕を続ける力が与えられています。現地での子どもたちへの働きは、アンナ姉妹のような奉仕によって続けられています。

アンナ姉妹の家はアントニフカ村にありますが、2022年12月激しい迫撃砲の攻撃を受けました。屋根が損傷し窓が割れ、通信線は破壊されました。しかし彼らはロシア軍の攻撃から奇跡的に守られました。アンナ姉妹と子どもたちは砲撃が最も大きかった部屋で寝ていましたが、午前4時に彼女は突然目を覚まし、子どもたちを起こし別の部屋に子どもたちと隠れました。

その数秒後に、砲撃が始まりました。もし彼らが寝ていた部屋に残っていたならば、命を落としたかも知れません。アンナ姉妹と子どもたちは、主の憐れみと保護にただ感謝しています。

神に仕える決意

アンナ姉妹と子どもたち

アンナ姉妹が強い決意で伝道し続けることは、ウクライナの他の地域のクリスチャンや、外国に避難したクリスチャンにも影響を与えています。例えば、ムイコラーイウ市から避難したクリスチャン女性がいます。彼女はユーチューブを通し、子どもたちが主イエスを賛美している姿を見ました。そして、「私は、あなたがヘルソンに留まり奉仕する姿を通し、私もムィコラーイウに行くことに恐れる必要はないと教えられました。なぜなら、あなたがヘルソンで失ったものは何もないからです。」どうぞアンナ姉妹と家族を覚えて、神の保護と祝福をお祈りください。

最前線から200メートル

ヘルソン州の東部アントニフカから約1kmのところに、小さな村があります。そこは前線となるドニエプル川までは、わずか約200mです。この小さな村はロシア側から、頻繁に砲撃を受けています。それでも約20世帯の約60人が住んでいます。ウクライナ軍はこの村を奪還しましたが、村では電気、水道、ガスが遮断されており、停電が続いています。彼らへのサポートが必要です。そこで現地教会の聖徒たちが彼らをサポートし、生活必需品を提供するため定期的に運んでいます。現地の人々は食物と懐中電灯が届けられ、その援助に深く感謝しています。

耐え難い砲撃

窓が破壊された家

今日の世界で、チェルソン近郊でロシア軍から砲撃で苦しむ人々を見ることはもっとも心痛むことです。ドニエプル川左岸からロシア軍が一斉に発砲する音を聞くたびに、人々は即座に神の慈悲と保護を祈り求めます。なぜなら、家々を飛び越える手榴弾や、埋められた地雷は、隣人、家族、友人を襲う可能性が高いからです。実に恐ろしい戦争です。

5月15日の夜、アントニフカ村郊外に住む姉妹から、家の近くで複数の地雷が爆発したと電話が入りました。一つは家のすぐ隣で、もう一つは近くの庭でした。80歳になる彼女と夫は、奇跡的に地下室に逃れることができました。自分の家が破壊され、庭には破片が落ち、これから何をすればいいか分かりません。絶望と動揺が住民の心を襲い、彼らの話しを聞くことに心が痛みます。そのような時に、怒りが心を支配するような誘惑にかられます。自分は全く無力で、守れないを目前に対処が不可能となります。そのような状況下で解決策はただ一つ、それは神に祈り、神を信頼することだけです。神だけがすべてを守り、終わらせることができるお方です。時々、「なぜ安全なところへ避難しないのか」尋ねられることがあると言いました。しかし80歳の老人が、どこに行けばよいでしょうか。彼らはそこでどうやって生きていけばいいでしょうか。現地に留まり、どうにかして生き延びる道しか残されていません。

慰めが必要です

窓枠の修理中

現地住民にはキリストの救いが必要です。ロシア軍からの砲撃はしばしば夕方遅く、または夜に始まります。外出禁止令が出ているため、個人的な慰めや支援をすることはできません。現地の兄弟は次のように語りました。「ある砲撃を受けた翌朝、私は息子と一緒に被害状態を見ました。暗闇の中では、被害の程度は分かりません。感謝なことに壁と屋根はまだ残っていましたが、窓、ドア、車、ガス管と水道管は破壊されていました。私たちは一緒に壊れた窓をOSBパネルで覆い、ガス管と水道管を修理し、再び住める状態に戻しました。」住民が受けた悲しみと、彼らの精神的ショックを理解することは、耐えがたいつらさです。今この瞬間、人々は慰めと希望を必要としています。彼らは非常に心を開き、キリストの福音の光を求めています。お祈りください。

(つづく)

過去の記事

490号488号487号485号
484号483号482号481号480号479号478号
476号475号474号473号472号471号470号469号

お気軽にお問い合わせください。06-6226-1334営業時間10:00~18:00(土日・祝日除く)

メールお問い合わせ