キルギス共和国

黒田禎一郎

キルギス(通称)は中央アジアに位置し、かつての旧ソビエト連邦構成国の一つで人口約650万人の小国です。人口の約半数はキルギス人が占めますが、他に80以上もの少数民族が混在する国です。国土の約90%は山岳地帯で、そこには金、石炭、ウラン等の鉱脈に加えて石油と天然ガスも出ています。歴史的には古くはシルクロード時代にさかのぼり複雑で、紛争は現在も続いています。国内では民族紛争、経済問題、反乱が続き、国外では隣国タジキスタンと未だに国境線が半分近く明確でないため軍事衝突が起こっています。この国は開発途上国の一つです。人口の約90%はイスラム教徒で、キリストの福音を一度も聞いたことがない人々は多くいます。しかしここにもキリストの教会は建てられています。次はロシア系ドイツ人アレイサンダー&ナタリア・G夫妻からの現地レポートです。

アレイサンダー&ナタリア・G夫妻

福祉支援施設「愛の手」

旧ソ連時代に、多数のロシア系ドイツ人がこの地に移住しました。彼らの多くはイエス・キリストを救い主と信じる聖徒(主にバプテスト派、ブラザレン派)たちで、神は霊のリバイバルが起こされキリストの教会が建てられました。そして社会的困窮者や福祉的支援を必要とする人々へ、イエス・キリストの福音が届けられています。ここ首都ビシュケクでも、貧しく生活に困窮している人々は多数います。欧州の生活スタンダートから見れば、想像もつかないような日々を送っています。貧困社会は子どもたちにも影響を与えています。

街ではストリート・チルドレンが多数います。初めは彼らのために「デェイ・センター」を開設して支援していきましたが、働きの必要性は大きくなり子どもたちを迎え入れる施設(孤児院)を2か所設けるようになりました。一つは「父の家」、もう一つは「幼年期子どもの家」と呼んでいます。じつに多数の子どもは破壊された家庭環境にあり、今も入居希望者リストには待ち時間が必要です。彼らが施設に入れば空腹を満たす食事だけでなく、霊の食物も受け取ることができます。子どもたちはその両面で飢え渇いています。

施設で食事中の子どもたち

キルギスの子どもたち

キルギスでの出生率は24%(2022年)ですので、多数の子どもがいます。しかし国家の政治・経済状況は、幼児・子ども教育にまで手を伸ばせる状況ではありません。多数の子どもたちは産みの親から捨てられ、路上をさ迷っています。子どもたちは教育が施されない社会に置かれ、小さい頃から煙草を手にし酒を飲み始め、中には麻薬に手を出す子どももいます。これらは全て国内犯罪に無関係ではありません。ここに発展途上国の悩みがあります。

私たちは2つの施設では、20人から60人の子どもたちをケアーしています。それぞれの施設長は子どもを通して親に連絡を入れ、子どもを定期的に訪問するように努めています。それによって子どもたちが親子関係を保てるようになるためです。確かに少しずつですが、彼らの問題が少し解消しつつあります。それに加えて感謝したいことは、ドイツの宣教団体「フリーデンズ・ボーテ」から経済的支援が届いていることです。支援献金で食料品を購入し彼らを助けています。

キリストの愛を伝えるために

もう一つの問題は、国内の経済事情から多くの親が子どもを置いて、出稼ぎ労働者として国外に出ている現実があります。残されたのは経済力の乏しい老人と子どもたちですが、彼らの親族や友人が子どもを預かれる訳でもありません。彼らの生活はさらに困難が増しています。それに未婚の母や、強姦によって母親となるケースもあります。これらの女性たちは家でも受け入れられず、路上をさ迷っています。さらに奇妙なことは、中世からある風習です。それは少女を小さい時に誘拐し、男と強制結婚させるという悪習慣が残っています。少女は自分の意志ではなく、道具のように扱われています。21世紀の世界で、このような現実がまだ存在しています。子どもたちが受けた心の傷は、決して小さくありません。心の傷を癒すために身体的、精神的、霊的支援が必要です。私たちはこのような不幸な状況下にある子どもたちを保護し、キリストにある愛で支援を続けています。そして子どもたちが自立して、生活できるようにも指導しています。忍耐と愛が求められます。何よりも、私たちの最大の願いは、子どもたちが真の神を信じ神の子として成長することです。どうぞ、私たちのキルギスでの働きを祈り覚えてください。

プラスチック・ボトルを集めるストリート・チルドレン

(つづく)

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