ミラノ賛美教会牧師

内村 伸之

欧州邦人宣教の21年を振り返って

2003年からミラノ賛美教会牧師の宣教師として、欧州において在欧邦人に福音を伝え、バプテスマを授け、キリストの弟子とする働きに全身全霊を注いできました。そしてこの二年間は何度もウクライナに渡り、戦禍の教会をサポートする働きに加わらせさせて頂きました。そして今は、2024年2月から半年間のサバティカル休暇をいただいております。

ミラノ賛美教会は7年に一度、3ヶ月間の休暇を下さいます。21年目の今回は、私が医師からバーンアウトの症状が出ていると診断されたこともあり、半年間の休暇を下さいました。そのことによって、これまでの宣教の歩みを神の前で静まりながら、振り返るという恵みを頂いております。

一方的な主の恵み

「あなたは奇しいわざを行われる神、国々の民の中に御力を現わされる方です。」(詩編77:14)

わがたましいよ。主をほめたたえよ。主のよくしてくださったことを何一つ忘れるな。(詩篇103篇2節)

33歳で公立高校の美術科教諭の職を辞し、主に人生を献げる決断をして宣教地であるイタリアに降り立ってから、今日まで全力疾走をしてきました。ですが随分と失敗だらけの宣教と牧会であったなと思います。人を傷つけたり、誤解したり、されたりすることもあり、破れ目だらけの歩みです。ですが、神が常に私達夫婦と教会を憐れみ、ここまで導いて下さったことに感謝が溢れます。自分の努力が結実したのではなく、ただ主が一方的に恵みを注いで下さいました。今は休暇を頂いて、ちょうど折り返し地点となる3ヶ月目なのですがミラノ賛美教会だけではなく、兼牧しているオランダ南部日本語キリスト教会やバルセロナ日本語キリスト教会においても、各教会が祝福されてきました。新しいリーダーたちが立ち、去るイースターには受洗者が与えられた報告を受け、御名を崇めています。

同時に思わされるのは、これからの私達夫婦の歩みです。自分の働きが完璧であったということではなく、主がくださった時間で、自分の役割を果たしたような思いもあります。これからの20年間を、どのように主に従って生きていくのかを自分に問うべき時間となっています。定期的に診療を受けるクリスチャンの精神科医からは、その答えを急いで出すべきでは無く、十分な休息の後に主が何を語られるのかを待つべきだと言われています。

不在のミニストリー

私が長年のミニストリーの結果、医師から【バーンアウト】と診断されたとき(それは私にとっては幸いでした。)中には、心配される方もいました。しかし、ある牧師からの一通の短いメールに書かれた言葉に励まされました。それは「あなたが何をするか(DOING)ではなく、あなたの存在(BEING)が神への最大の奉仕なのです。」と言う言葉でした。

かつてオランダ人のカトリック教司祭、ヘンリー・ナウエン師は自身の著書において「奉仕者の不在というミニストリー」という言葉を用いていました。自分がこれまで神によって置かれた働きの場を去ることによって、神のみ霊に場を提供し、また自分たちが立ち去ることによる不在が、神が新しい仕方で臨在されることになるというミニストリーがあることを最近は考えるのです。これまでの21年を振り返るときに「牧会者である自分は、人の求めに応じすぎなかった(あるいは人の求めに無頓着で応じなさすぎ)」結果、聖霊の働きを制限してしまってきたのではないかと考えることがあります。それゆえに、3ヶ月後、再び欧州に戻り、自分の働きの場(教会)に戻ることがあったとしても、信徒と共に、「牧会者である私もこうあるべき」という考え方を、主によって変えて頂く必要があると思わされています。

 特にロシアがウクライナへの侵攻を始めてからは、私はイタリア、オランダ、スペイン、日本、そしてウクライナと駆け回ってきました。そして、どの教会の信徒からも「牧会者には、もっと腰を落ち着けて、自分たちのそばにいて欲しい。」と言われてきました。そして、その指摘は実に当っている面もあると同時に、牧会者である自分も「自分が必要とされているという実感」という欲求から解放されていなければならないと思わされています。いずれにしろ、私とキリストのからだである教会は、これからもっと、主にとって用いやすく、主の栄光をあらわす存在でありたいと願っています。  主の前に静まり、素の自分【神がのぞまれる自分】としての取り扱いを頂きながら、世界を見つめています。そのような中で、消えない情熱として与え続けられているのは【平和をつくる者】として生きるということです。次回のレポートでは、日本では報道が減っていますが、今なお続くロシアによるウクライナ侵攻と、戦禍における教会の【平和をつくる働き】と【欧州の教会のこれから】についてお分かちしたいと願っています。

(つづく)

ミラノ賛美教会のメンバーたちと


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