これからの海外邦人宣教

草はしおれ、花は散る。

しかし、私たちの神のことばは永遠に立つ。 イザヤ40:8


黒田 禎一郎

時代の大きな変化

私は海外邦人宣教に重荷が与えられ、海外在住の同胞にキリストの福音を伝え始めてから、早くも半世紀の時間が経過しました。この約50年で海外在住邦人の動向は、大きく変化してきました。外務省発表の海外在住者数統計(2022年10月1日現在)によれば、次のような数字が確認できます。海外在留者数130万8千515人、長期滞在者数75万1千487人、永住者数55万7千034人。現在、コロナ禍パンデミックは終息し、海外に出発する日本人は増加傾向にあります。中でも青年層の動向には著しいものがあります。それはグローバル化の一面でしょう。

多くの若者が比較的手軽に行ける「ワーキング・ホリデー」(ワーホリ)ビザを利用し、ある一定期間海外に住み働く経験をしています。確かに、青年期にそのような貴重な体験をすることは有意義です。しかし、そのワーホリ青年たちに問題が生じていることも事実です。特に昨今のSNSの急速な発展は、情報洪水をもたらしています。飛び交う各種の情報(フェイクを含む)は、何が信頼でき何が真実であるか、判断を難しくさせています。時代は大きく変化しましたが、人の心は変わっていません。

人の動向は時代と共に移る

人の流動は内外を問わず、時代の経済動向と密接な関係があります。ひと昔前、日本経済が高度成長期であった時代は、日本製品とそれに関連する会社は海外へどんどん進出して行きました。それに伴い海外に駐在するビジネスマンとその家族も増えました。しかし、バブル崩壊後の日本経済の低迷に伴い、その人数は次第に減少してきました。しかし一部ではありますが、現地に長期に渡り留まる方、国際結婚される方など多様です。

 今の時代の日本人教会(あるいは日本語教会)の多くは、現地の教会と親しい交わりが必要となっています。その理由は、自分たち独自の会堂を持つ群れは少なく、多くは現地教会を借りての礼拝(集会)を持っていることです。また国際結婚した方々が配偶者と子ども同伴で礼拝(集会)に参加するケースが、多くあるからです。この傾向は英語圏のオセアニア諸国、欧州各地にある邦人教会で見られます。グローバル化が促進する現代社会の自然の流れでしょう。そこでの伝道の働きは、これまでのように一言語による礼拝から、現地での言語を用いた「バイリンガル礼拝」に移り進んでいます。このようなバイリンガル礼拝は、すでに米国をはじめとして、英国、ドイツ、スイス、オーストラリア、ニュージーランド等で始まっています。

変わらないみことば

このような時代の流れの中で、いつまでも変わらない神のみことばを語り伝えることは大切です。生ける神のみことばによって、多数の方々の人生が変えられています。日本人が外地で、キリストの福音に出会う絶好の機会となっています。そこで大切なことを挙げてみます。

1. みことば信仰に立つ

 

キリストの福音を宣べ伝える手段と方法は、置かれた国と場所において異なります。そこには当然のことながら、祈りと工夫が必要です。しかし最も大切なことは、福音を伝える側の霊的姿勢でしょう。何よりも生ける神の愛を伝えるのであって、決して手段や方法を優先すべきではあません。初代教会時代、聖徒たちは、自分たちが見たこと、聞いたこと、経験したことを隣人に語り伝えました。彼らは旧約聖書が預言してきたメシアこそ、イエス・キリストであると伝えました。彼らが約束のみことばに立った時、御霊が聖徒たちに臨みました。そして漁師であったペテロは、一度に3千人もの人々を回心に導く伝道者となりました。霊のリバイバルが起こりました。それは神がなされたみわざでした。神のみことばを宣べ伝えることが大切です。

2. だれが福音を宣べ伝えるか

次に大切なことは、誰がキリストの福音を宣べ伝えるかです。海外邦人宣教一つとりあげても、宣教師、牧師、伝道師を派遣することは決して簡単なことではありません。神が召された働き人を宣教地に送り出すことは重要なことです。送り出す側も、派遣される側も、同じように神のぶどう畑で働くものです。初代教会時代を思い出してください。彼らは特別な訓練を受けた人たちではありませんでしたが、神が備え訓練された器でした。

ところで、「宣教の声」(507号)のWorld Viewで、フィリピン人の働き人が紹介されました。今、各地で働いているフィリピン人クリスチャンが、世界各地で宣教師の働きをしています。いわゆるレイマンによる宣教活動です。内外を問わず、主が置かれた所が自分の宣教地ではないでしょうか。特別な賜物を持ち合わせなくても、主にあって経験した神の愛を語ることはできるはずです。それで十分ではありませんか。なぜなら宣教の主権者は神であり、みことばに権威があるからです。私たちは信仰の先人たちに倣い、今日もキリストの福音を宣べ伝えようではありませんか。

(つづく)


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