米国ハワイ邦人宣教①

「宣教 ~大切なこと~」

ホノルル キリスト教会

牧師 関 真士

神の好機

コロナパンデミックが始まって、約3年が経ったことになる。3年前の、あの物々しい雰囲気が遠い昔のような気がする。この3年間を振り返る時、「人の危機は、神の好機」とはよく言ったもので、まさにその通りであった。確かにコロナは、様々な危機を教会にもたらした。会堂礼拝が持てないという礼拝の危機、集まれないゆえの交わりの危機、献金の減少による財政危機、訪問や見舞いにも行けない牧会の危機、コロナ対応に疲弊した牧師のメンタルの危機…等々。

しかし、これらすべての危機は、神の好機となり、教会を目覚めさせ、物事の本質を考える良い機会となった。 結果的に教会は活性化された。信徒の方々の様々なアイディアから15以上の新しい働きが始まった。ハイキングチーム、サーフィンチーム、メンズフェロシップ、SNS利用では、キッズサンデースクール、バースデー、エクササイズ、ディボーションブログ、聖書クラスなど。絵画クラス、フラワーミニストリー、生活困難者へのサポートチーム、対面の聖書クラス、バンドミニストリー、キッズ音楽ミニストリー、対面のキッズサンデースクール、休止中だった祈りのチームの再始動など、それ以外にもたくさんの働きが起こった。この中には、役割を終えたものもあれば、継続しているものもある。

ホノルル教会

洗礼者、転入者は、合わせて30名以上となった。コロナに起因する財政危機も乗り越えることができた。礼拝動画配信の登録者数は、コロナ前から約千人増えた。危機の中だからこそ、教会は一致することを強く意識し、愛することを実践する力は増し加えられた。まさに、人の危機は、神の好機であった。ハレルヤ!

大切なこと

このような目に見える形として起こった事は素晴らしいことで、素直に嬉しいことだ。しかし、これらの出来事や数値は、教会の旅路の中で起こったことであって結果ではない。これだけをもって“人の危機は、神の好機”の印とすることはできない。私自身は、ホノルル教会で数値を目標として掲げたことはない。むしろ私が牧会の上で大切にしているのは、人を「神のかたちに造られた人」として見るということだ。

すべての人間が(もちろん未信者も)、「神の作品」として神に造られた者たちだ。もし今手に持っている器が人間国宝の造った茶碗だと判ったら、特別に慎重に丁寧に扱うことだろう。私たちは、その人と関わる時には、人間国宝どころではない天地を造られた神に造られた方と関わっているということを意識したい。

マタイは、自分自身のイエスとの出会いと回心の出来事をたった1節で記している。マタイの福音書9章9節には、イエスは「マタイという人が取税所に座っているのを見て」と記している。取税人とは自分の意志で神の民であることを放棄した者たち、つまり神よりお金を選んだ者たちだ。だからユダヤ人からは「罪人」と呼ばれていた。しかしイエスは、マタイという取税人が取税所にいたとは見ていないのだ。イエスは、マタイという人を見ている。取税人が取税所にいるのは当たり前だ、それが仕事なのだから。しかしイエスは、マタイを神のかたちに造られた人、さらにアブラハムの子孫として見ている。そう見ると、マタイが取税所にいるのは当たり前ではない。そこはマタイという人が居るべき所ではない。

私たちは、イエスがマタイという人が取税所にいるのを見たように、その人が置かれている状況や場所を知ること、人間の罪性を直視することは必要なことだ。しかし、まず先に見るべきは、その人が神のかたちに造られた人であるという事実である。たとえ、その人が神のかたちに造られた本来の姿から離れ、罪の中に生き、神から離れていても、その人が神の作品であることには変わりはない。その作品にひびが入り、欠け、汚れていても、それでも神の作品であることには変わりはない。神は、そのひとり子イエスの十字架の血によって、その神の作品を清め、癒し、本来の神の最高傑作品としての姿を回復してくださる。さらに神の栄光のためにその器を使ってくださるのだ。

存在の尊さ

数値は上がったり、下がったり、常に変化する。そこで本当に大切なのは、確かに今ここに存在している名前を持った「人」なのだ。その人の存在の尊さは、コロナ前も中も後も変わることはない。コロナ規制もゆるくなり、会堂礼拝に人が戻り始めて来たころ。ある期間、私は「その人、その人」が礼拝にやって来る姿を見て涙が溢れてくることがあった。キリストが呼び集めている一人一人の存在が愛おしくて仕方がないのだ。

コロナ下の3年間において痛感したことは、コロナであろうとなかろうと、宣教とは、「その人」の存在の尊さに想いを向けることだということであった。この気づきこそが、本当の意味での“神の好機”なのだと思う。 (続く)

洗礼は早朝のビーチで

(つづく)


過去の記事

481号480号479号478号
476号475号474号473号472号471号470号469号

お気軽にお問い合わせください。06-6226-1334営業時間10:00~18:00(土日・祝日除く)

メールお問い合わせ