欧州日本語教会における主のみわざ
フランクフルト日本語福音キリスト教会
牧師 矢吹 博
主に導かれ、2015年からフランクフルト日本語福音キリスト教会の牧師として歩ませていただき10年目に入りました。赴任時には65歳でしたが、現在は74歳。夫婦とも健康の恵みを主から賜り、大きな病もなく現在に至ります。そのなかで教会はいくつかの転機を通りました。最も大きなものは、これまで当地の日本語教会での主要メンバーだった駐在者とその家族のすべてが帰国したことです。それゆえ、現在の教会のメンバーの多くは国際結婚してこの地に住み続ける「定住者」と言われる方々です。今は、この方々がともに礼拝し、分かち合い、福音の種まきをし、当地のドイツ教会や欧州の日本語教会・集会と協力を進めています。 現在、フランクフルト教会が取り組んでいるいくつかのことをお分かちしたいと思います。
1.日独二か国語礼拝(第一日曜日)
2016年5月から、月の第一日曜日の礼拝の宣教にドイツ語の通訳を加えるようになりました。教会のドイツ人家族も一緒に礼拝を持つためにというのが理由でした。その後、2019年12月からフランクフルト市北部にあるルター派のいわゆる国教会を借りることができるようになり、礼拝全体が「二カ国語」で行われるようになり今に至っています。 さらに2023年からは、お借りしているドイツ教会の「教会ニュース」でこの「日独二か国語礼拝」が定期的に案内され、以来何度か地域のドイツの方々が礼拝に参加することがありました。現地教会との協力による礼拝も年に二度ほど行われ、7月には日本語教会の「礼拝・流しそうめん」にドイツ教会の皆さんをお招きし、10月最初の日曜日にはドイツ教会の「収穫感謝礼拝」に日本語教会も参加しています。
2.福音の種まき
駐在者家族が教会に来ておられないなかで、牧師夫妻が住む周辺には日本人学校、幼稚園、日本人補習授業校などがあり、多くの日本人家族が住んでいます。現在教会ではこのご家族に福音を届けるために主に二つのことをしています。
一つは紙媒体の教会ニュースのポスティングです。主に二か月に一度「パンと魚」というタイトルの教会からのニュースをお届けしています。内容は牧師のエッセイ、絵本の紹介、そして家族で参加できる教会行事の案内です。コロナパンデミックが明けた2021年が第一号でした。最初は読まれているのかそうでないのかがよく分からないままに配布していましたが、何かのきっかけで読まれていることが分かりました。SNSの時代、紙媒体という旧いスタイルはどうだろうかとの思いもありますが、ポストに日本語の文章が入っているというのはあるかもしれないとも思うのです。
二つ目は、「クリスマス朗読劇」です。これもコロナ明けから始めたことです。一人の姉妹が子どもたちとご家族をクリスマスの礼拝、祝会にお招きしたいというビジョンを神さまから与えられ、2021年のクリスマスから行っています。初めは姉妹が教えているピアノなどの音楽の生徒さんが主な出演者で、朗読と演奏とに分かれて、練習を重ねていきます。演目は「ヘンゼルとグレーテル」(2021年)に始まり、「イエスさまのおたんじょう」(2022年)、「世界のはじめ(天地創造)」(2023年)と続き、今年は「ノアの箱舟」を朗読します。回を重ねる毎に応募する子どもたちも少しずつ増え、クリスマス礼拝・祝会には大勢のご家族が参加してくださるようになりました。参加者ご家族は、夏の野外礼拝+流しそうめんにも参加し、浴衣姿の子どもたちが遊んでいる姿を、ドイツ教会の方々が目を細めて見ておられる様子が印象的でした。
3.世代交代 私たちはもうすぐこの地を離れます。このために、教会では数年前から次の牧師を招聘するための取り組みを始めました。最初は「牧師の役割、信徒の役割」という本を読み合いました。次に年に一度開催される修養会において「フランクフルト日本語福音キリスト教会のこれから〜牧師招聘」というテーマでの発題と分かち合いがなされました。近隣日本語教会で奉仕している3名の教職者による発題を受けての質疑応答があり、全体として意義ある時間を持つことができました。そして今は、具体的に牧会者として奉仕をしてくださる可能性のある方のために祈り始めています。詳しくは次回に書きますが、今年の7月末に持たれた「ヨーロッパキリスト者の集い」には、全体で210名の参加者中、三分の一以上の80名ほどがユース、ティーンズ、そしてCSでした。このようなことからも、次の世代を導く牧会者を主が私たちの教会に遣わしてくださることを、私たちは祈り求めています。
(つづく)
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