砂の上に建てた国― コロナ禍の北朝鮮

新型コロナウイルスが、世界中に蔓延して2年が経過しました。この2年間に、世界各国での感染拡大は瞬く間に広がりを見せ、人類の生命を危険に晒す脅威的存在となっています。ベールに包まれた北朝鮮では、国民たちにとって、コロナ以外にも彼らの生命を脅かすものが様々ありますが、コロナ禍は彼らをさらに追い詰め、より過酷な苦境に立たせています。

感染者数「0」

北朝鮮政府は2021年秋までに、累計で4万2千人に対してコロナの検査を実施し、陽性者は一人も確認されていないとWHOに報告しています。WHOからの支援物資は受け入れるものの、ワクチンの受け入れは拒否し、独自の方法で感染を抑えていると主張しています。国内外でコロナ感染者は「0」と宣言し、2021年10月にワクチン1次接種を全住民に実施し、年内には2次接種も実施したとされています。そのワクチンが自国製造か、あるいは不当に得た物であるか、真相は解明されていません。国が海外製ワクチン受け入れると、接種状況の視察に海外から監視官が北朝鮮国内に派遣されるゆえ、海外ワクチンの受け入れを拒否していると予測されています。中国でコロナが発生し、北朝鮮は最も早く中国との国境を封鎖しました。人や物資の往来を統制しつつも、既に昨年の春の時点でコロナによる感染者数は、1万人以上を超えたとされています。感染者たちは重罪人のように扱われ、戸外へ感染者を出さないように、家の扉に釘を打ち付けて閉じ込め、一家全員が亡くなったケースもありました。また、不衛生な国家隔離施設に収容され、あまりにも食事や医療の提供が乏しく、回復することなく半数以上が亡くなったとされています。

全てを喰い尽くす獣

コロナを口実に国家は、統治の基盤を更に強化させる動きがあります。国境地帯の各村々では、多くの民防衛隊と軍隊が行き来し、住民たちを統制しています。それゆえに、住民たちは夕方6時以降は、軍隊などを恐れて外出できずにいます。国家は住民たちに、人民の安定と祖国の安全を守らせるという名目で、少しでも行動が怪しい住民がいれば、積極的に申告するように促しています。その報酬として、誰かを申告すれば物品を与え、申告された相手はその結果、厳しい処罰を課せられます。それらの処罰によっては、些細なことにおいても公開処刑にされ、今、処刑によって、多くの尊い生命が北朝鮮で奪われています。飢えで苦しむ国民たちに、拍車をかけるかのごとく「報酬」をちらつかせ、互いに裏切り合い、殺し合うかのように仕向けます。北朝鮮国家は、統制によって人々を縛り上げるだけでなく、人間同士の信頼や温かな関係も破壊し、国民の生命だけでなく、心さえも全てを喰い尽くす、狡猾な獣と化しています。

北朝鮮国民たちを常に苦しめ、コロナにより更に彼らを苦痛に追いやっているものは、やはり飢餓です。国境が封鎖され、独裁権力を支え続けた中国間との密輸が断たれたことにより、北朝鮮市場の物価は高騰しました。国民たちにとって唯一の生命綱であるチャンマダイ(闇市)も、その利権を政府が奪いました。現在、国民の75%以上が飢餓状態にあり、北朝鮮軍が打ち上げるミサイル一発の金額は、数十万人の1ヶ月分相当の食費に匹敵すると言われます。最近、政府は配給制度を復活させたものの、その配給価格は市場価格より若干安い値(市場が5,000ウォンの商品なら、配給所では4,000ウォン程度)で、国民に売りつけられています。人々は少しでも安く手に入れようと配給を並びますが、買うためには互いに押しのけ合い、負傷するような喧嘩も見られます。その配給では一人が5~7日ぐらい食べられるのがやっとです。配給があっても国民たちは、自分たちが収穫をした穀物で軍の米倉庫をいっぱいにしなければなりません。コロナ前は国境で密貿易することで市場が活性化し、資金がそれなりに流通していましたが、今はお金も無く、市場にある商品を誰も買うことができません。中国製品の付属品や乾電池なども手に入らないため、時計さえ止まったままです。このような状況にもかかわらず、党においては、今年は豊作のあまり、2022年はとうもろこしご飯を見ることもなく、白米を飽きるほど食べることができ、生活必需品も溢れるくらい豊かな生活になると大々的に宣伝し、国民たちを欺いています。北朝鮮独裁政権は、世界にその国家権力を誇示するかのようにミサイルを打ち上げ、軍事力発展を国際社会に見せつけてはいるものの、実際の国有財産は乏しく、国の人力は虫の息のようです。いつ足もとから崩れ落ちても不思議ではない国、まさしく、北朝鮮国家は砂上の楼閣です。

ミサイルより強く

創造主なる神様には、この砂の上に建つ国にどのようなご計画があるのでしょうか。一国民として生きるだけでも過酷な地で、北朝鮮キリスト者は、より壮絶な状況に身を投じています。この国の神の子どもたちのたましいもまた、神のことばと自分たちが立てたあかしとのために殺され、祭壇の下に集められています(黙示録6:9)。しかし、北朝鮮の殉教者たちの血が種子となり、多くの地下教会を生み出したことも事実です。聖書を持つだけで処刑されるこの国ですが、コロナ禍に日本から20万冊の聖書が、北朝鮮へと羽ばたいていきました。日本のある所で一冊一冊、心を込めて印刷された聖書は、希望のない、飢え渇いた荒野に泉を与えています。それとともに、私たち一人一人の祈りの力が、この砂の上に建つ虚しい偶像の国から、岩の上に建つ生ける真の神、主イエス・キリストが勝利する国へと変えるのです。聖徒たちの祈りの炎は、どんなミサイルにも負けない絶大な力を誇ることでしょう。

「見よ。わたしは新しい事をする。

今、もうそれが起ころうとしている。」

(イザヤ43:19)

コロナ禍で統制によって締め上げられ、また、1990年代を超える飢餓状態にある北朝鮮国民のためにお祈り下さい。20万冊の聖書が神の御心の場所へたどり着き、豊かに用いられ、聖書を受け取った一人一人が守られ、イエス様の子とされるようにお祈り下さい。

行進する北朝鮮女性兵士たち

(つづく)(名前は全て仮名です)

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