特別編
拉致問題
世界のある国で、ある日、突然北朝鮮工作員による拉致事件が起こりました。北朝鮮による拉致被害者は、韓国にも多数いますが、先に帰国した日本人拉致被害者等の証言から、タイ、中国、ルーマニア、レバノン等でも北朝鮮に拉致された人々がいることが、明らかになっています。この北朝鮮による拉致問題は、国の主権および国民の生命と安全を脅かす重大な問題です。拉致問題は、基本的人権の侵害という国際社会の普遍的問題です。
日本人拉致問題

日本政府はこれまでに帰国した5名を含む17名を、北朝鮮当局による拉致被害者として認定しています。しかし、この他にも日本国内における日本人以外(朝鮮籍)の拉致容疑事案や、いわゆる特定失踪者も含め拉致の可能性を排除できない事案もあります。日本政府は北朝鮮側から,納得のいく説明や証拠の提示がない以上、拉致被害者は全て生存しているという姿勢です。1997年、拉致被害者家族により「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)」が結成されました。それ以降今に至るまで、家族会は拉致被害者救出のため、あらゆるチャンネルを通して活動してきました。 2002年9月17日、第1回日朝首脳会談において、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長(当時)は、長年否定していた日本人拉致を初めて認めて謝罪しました。そして同年10月15日、小泉純一郎総理(当時)と共に拉致被害者5名が帰国を果たし、家族との面会を果たしました。そして第2回日朝首脳会談(2004年5月)で、小泉総理は再度訪朝し、金正日国防委員長と会談しました。そこで拉致問題はじめ日朝間の問題や、核、ミサイル、といった安全保障上の問題についても論議を交わしました。さらに、この会談に基づき、池村さん家族と蓮池さん家族計5名は、小泉総理と共に帰国しました。またその後7月には、曽我ひとみさん家族3名も帰国が実現しました。それ以降、残念ながら日本人拉致被害者の帰国は実現していません。最近、家族会のメンバーも高齢化し、拉致被害者の迅速な帰国が求められています。
横田めぐみさん
特に心を痛める拉致被害者は、当時13歳の少女であった横田めぐみさんです。1977年11月15日、日本海に面した新潟の街から一人の少女が突然姿を消しました。その日の朝、めぐみさんは、いつものように両親と双子の弟とにぎやかに朝食を食べ、中学校へ出かけました。それが家族にとって、めぐみさんを見た最後になってしまいました。
めぐみさんはクラブ活動のバトミントン練習を終えて帰宅するはずでしたが、その帰路に北朝鮮工作員によって拉致されました。40時間もの長い間、北朝鮮に向かう船中の真っ暗で寒い船倉に閉じ込められたというのです。それから20年後、1977年1月21日、めぐみさんは平壌で生きている情報が入りました。両親は実名を公表し、新聞や雑誌が一斉に報道し、国会でも取り上げられました。2002年、小泉総理が北朝鮮を訪問し金正日国防長官と初の会談で、北朝鮮からの情報は「横田めぐみ死亡」というショッキングなものでした。しかし、これは 北朝鮮が一方的に言ってきたことで、納得のいく説明や証拠はいまだに示されていません。2004年11月、北朝鮮はめぐみさんの「遺骨」を提出しましたが、DNA鑑定の結果、めぐみさんのものと違うDNAが検出されました。めぐみさんが拉致されて48年にもなろうとしていますが、家族会はじめ多くの人々は決してあきらめないという信条を持って、救出活動に力を注いでいます。
拉致問題 Q&A
Q1.なぜ、北朝鮮は日本人を拉致したのですか。
A1.北朝鮮が拉致という未曾有の国家的犯罪行為を行なった背景には、工作員により日本人への身分の偽装、工作員を日本人に仕立てるための教育係としての利用等があったと思われます。
Q2.北朝鮮は拉致を認めたのに、どうしてまだ帰国できない人がいるのですか。
A2.拉致被害者が日本に帰国することにより、スパイ活動やテロ行為への関与など、北朝鮮にとって不都合なことが明らかになることを恐れているためと考えられます。一例として、金賢姫北朝鮮元工作員は、1987年11月、日本人になりすまし韓国の航空機を爆破しました。彼女は拉致被害者(田口八重子さん)から日本語の教育を受けたと証言しています。しかし。北朝鮮はこの事件への関与をまだ認めていません。事実が明らかになることを恐れて、田口さんを帰国させていないと言われています。
Q3.どうなれば、拉致問題が解決したと言えるのですか。
A3.拉致問題の解決には、次の三つを実現する必要があります。
① 全ての拉致被害者の安全を確保し、すぐに帰国させること。
② 北朝鮮が拉致の真相を明らかにすること。
③ 北朝鮮が、拉致を実行した者を日本に引き渡すこと。
Q4.拉致問題解決のため、日本政府はどのようなことをしていますか。
A4.日本政府は北朝鮮との間の輸出入を禁止し、様々な対北朝鮮措置を講じています。二国間会談や国際会議の機会を利用し、各国に対し理解と協力を求めています。そして、拉致被害者に関する情報収集を行なっています。加えて拉致の可能性を排除できない方々の捜査・調査を行なっています。
Q5.日本政府は、拉致問題を解決するために、北朝鮮に対してどのような交渉方針で望んでいるのですか。
A5.政府の対北朝鮮政策の方針は、日朝平壌宣言に則って、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するというものです。今後の対応については、引き続き、北朝鮮に対してストックホルム合意の履行を求めつつ、あらゆる施策を講じ、全ての拉致被害者の1日も早い帰国の実現を目指す考えです。
(出典:日本政府拉致問題対策本部「北朝鮮による日本人拉致問題」資料)
キリスト者にできること
1.神への信頼の「祈り」です。この理不尽な拉致事件も主の手の中にあります。一日も早い解決のために、心を合わせて祈ることができます。
2.拉致被害者の家族、家族会、政府関係機関の方々を励まし、支援し支えることができます。できる限り、キリストの愛を持って支援することです。
(名前は全て仮名)(つづく)
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