欧州日本語教会における主のみわざ2
フランクフルト日本語福音キリスト教会
牧師 矢吹 博
今回は、少し視野を広げて、私が携わらせていただいている働きについて紹介いたします。
1.新しい日本語の礼拝
私は現在、フランス東部ストラスブールで月に二度、土曜日に持たれている日本語礼拝に協力しております。ストラスブール日本語礼拝は、ストラスブールで学ぶ日本人留学生の一人が、聖書のみことばを聴きたいとの願いを受けて、2008年に「ストラスブール聖書のお話を聴く会」がもとになっています。そして、絵画や音楽を切り口として聖書の話を聴くことを、不定期に続けてきました。
私も、この会のために労をとっている方から協力を求められていたのですが、隣国であり遠いのではないかというのを理由に、返答を先延ばしにしていました。しかし、2021年にストラスブールで開催された「ヨーロッパキリスト者の集い」に参加した時、思っていたよりも近いことを知りました。さらにこの時の「集い」で、「ストラスブール聖書のお話を聴く会」を通して信仰を持った一人の姉妹による「ストラスブールには日本語の礼拝がないのです」との訴えを聞き、協力を申し出ました。そして、私も含め三人の牧師が協力し2021年11月から礼拝へと移行したのです。ほぼ2か月に2度ぐらいの頻度で土曜日にアウトバーンを往復して奉仕しております。
礼拝に集うのはこの地で学ぶ若い日本人の方々。ほとんどは、日本や欧州の他へと移って行きます。しかし、この礼拝を通して主は信仰を持つ方を与えてくださいました。協力牧師が洗礼のための学びを分担して、準備を進めています。
さらに、ストラスブールからドイツ東部のドレスデンの大学に移り、声楽を学んでいる方とは、ストラスブール礼拝側の二人との間でおおよそ月二度オンラインでの聖書の会を続けています。 ストラスブールでの新しい礼拝のために、スイス、ドイツ、そしてフランスの日本語教会が祈り支援をしていることに、私は欧州の日本語教会の一つのかたちを見ています。
2.インターネットを用いてのデボーション
火曜日朝6時になると、ドイツに住む3人、チェコに住む2人がインターネットを介してのグループデボーションを行っています。早朝なので、カメラはオフにするというのが決まり。私も月に一度加えていただいています。
きっかけは、癌にかかった一人の姉妹をどのようにして励まし支えることができだろうかとの一組の夫妻の思いでした。みことばをいっしょに読み、分かち合うことでその方も含めて互いに支え合うことができるとしてスタートした「ネットグループデボーション」は、その方の召天後も続けられ、やがてこのデボーションがきっかけとなって信仰に導かれる方も与えられました。
内容は、私が編集している聖書同盟発行の「みことばの光」に従って、その日の聖書箇所を読み、参加者それぞれが聖書に教えられたことを分かち合い、最後に祈り合います。また、この交わりにいる2人の方が中心になり、チェコ日本語キリスト教会が2023年秋に「家の教会」としてスタートしました。 教会の礼拝や集まりにインターネットを用いるというのは、欧州に限りません。特にコロナ・パンデミックでこの傾向が強くなっているように思います。しかし一方では、実際に集まってこその教会であるというかたちを保っていきたいという声もあります。
3.収穫のために
1986年に第一回が開催された「ヨーロッパキリスト者の集い」は、2024年で第41回目を数えました。「ヨーロッパキリスト者の集い」のウェブサイトに第一回目の集合写真がありますが、それを見るとたくさんの子どもたちが最前列と二列目に並んでいます。そして今年開催した第41回の「ヨーロッパキリスト者の集い」には210名ほどが参加しましたが、そのうちのかなりの割合がユース、ティーンズ、そしてCS参加者でした。ここに希望に満ちた二枚の写真があります。
そしてその中から、主がお許しになるならば近い将来主のためにささげて、福音のため教会のために仕えたいという方々がいることに、私は注目しています。彼らの中には多文化多言語環境で育った人々も少なくありません。その方々を、必要な準備を経て日本人への宣教の働きに、日本、欧州、そして世界中にお遣わしになることを期待して祈っています。
欧州の日本語教会では、今年から来年にかけて私も含めて4名が牧師を辞します。しかし、それは働きが先細りになったからではありません。主イエスが言われた「収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫の主に、ご自分の収穫のために働き手を送ってくださるように祈りなさい。」(マタイの福音書 9章37-38節)とのことばが心に響き続けています。 皆様の祈りに感謝しつつ、報告とさせていただきます。
(つづく)
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